ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ミステリが読みたい! 2010年版』ミステリマガジン編集部編,早川書房,2009

 早川書房が発行する年間ベストミステリ案内ガイドブック。年間集計としては発行が早すぎだろうと呟きたくもなりますが、『このミス』との違いを鮮明にすることで、ミステリファンに対して両方とも購入させることを考えると、当然の発行時期ですね。

 それに加えて、本年度から内容も『このミス』と大きく異なり、「大賞」と「新人賞」に加えて、ストーリー、サプライズ、キャラクター、ナラティブの部門別、またサスペンス、ハードボイルド、本格、警察、ノワール、クライム、リーガル、冒険・謀略・スパイ、歴史、クラシック、SF・ファンタジー・ホラー、純文のジャンル別にベスト5を集計しており、好みが細分化された読者にとって非常に有益なものになっています。

 多様な評価軸を出すことによって、作品の評価に有効化を与えつつも、別の意味では「ベストミステリを評価すること」に無効化を施しているようにも感じます。

 また、海外ミステリを読んだことがない入門ガイドブックの意味として、海外ミステリ・オールタイム・ベスト100も掲載されており、盛りだくさんです。

 惜しむらくは、投票者個々のアンケートが掲載されていないこと。それでマイナーな作品も読むことがあるので。これからの希望としては、もう少し作家のインタビュー、売上げであれ賞であれアメリカなどのミステリの評価がどのようになっているか、読みたいですね。

ミステリが読みたい!〈2010年版〉

ミステリが読みたい!〈2010年版〉