何でもやるのが特命係――法務省からの依頼で、仮釈放で出所してから一日で免許証の再交付を受けて、レンタカーを借りて、そのまま行方をくらました山部という男の捜索を行った。山部の更生保護施設に残された私物には、仮釈放許可決定書や海外移住マニュアルの本であった。
山部のことを調べると、覚醒剤所持によって、村上という男と同時に逮捕されていた。山部には池田という女から訪問を受けていたが断っていた。池田に聞くと、村上と同棲していた女で、山部とは無関係だという。しかし、池田は山部の出所の時期を気にしており、ここ一カ月以内に池田は山部の面会に訪れていたのである。「池田の心境が変化した理由はいったい何なのでしょう?」 次に、刑務所にいる村上によると、山部は海外にでも逃亡していたのではないかという。
いよいよ手配中のレンタカーが村上家の墓地のそばに、山部は河川敷で他殺で発見された。山部は、どうやら隠していたものを探していたらしい。山部の行方を気にしていた池田を尋問すると、山部は逮捕前に村上がもっていた1キロの覚醒剤を盗んで隠していたらしい。山部は、覚醒剤をめぐって殺されたのではないか? しかし村上は刑務所内にいた。犯人は池田なのか? 右京は、犯人らしき人物を罠にかける。
前半は、逃亡犯の捜索、後半は殺人事件捜査に変わるなど、『マルタの鷹』以来のパターンで飽きさせない展開でした。犯人は、ちょっと脇役過ぎたかなと思われましたが、少ないながらも伏線はきちんと張っており、まあまあの出来で、☆☆☆★といったところです。