萩尾望都氏のたった1つのエッセイ集。先日、私が知っている中で、もっとも文芸的に素晴らしい少女マンガって何だろうと考えていんですけど、結局選んだのが、『トーマの心臓』と『日出処の天子』と『風と木の詩』の3つ。このエッセイでは、その『トーマ』の連載時の苦労、例えば、編集者に「長篇をやろう」と言われて、第1回めの人気がないので「4、5回で終えてください」と掌返しをされたりなどが書かれており面白いです。
しかし、『トーマ』は何度読んでも分からないんですよねえ。しかし面白い。ベジャールのバレエと同じですかね。
また、マンガとは関係ないけど、著者がイギリスの語学学校(?)で、異国人が集められて受けた英語の需要における英語の発音の指導の話が興味深い。
「ジョージ、Hの音がぬけている。HAPPY、あなたのはAPYだ。もう一度」
「ハリ、TANKではない、THANK、Hが抜けてる」
私はじっと聞いていたが、アッと思って同行の友人に言った。
「ねえ、英語のスペルって、ひとつずつ発音を表わすものだったの?」
「何だと思ってたの?」(140〜141頁より)
英語のアルファベットが1つずつの発音記号だったなんて、本当ですか、本当のような気がします。
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/11/04
- メディア: 文庫
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