吉田秋生氏の新作第3巻です。私は1・2巻とも評しており、とくに2巻のときは最大級の評価をしたのですが、本巻になって、もう「すごい」としか言いようのない作品となっています。ミステリでも萌えものでも、ある種のとんがっている部分がないと面白く感じないのですが、本作ではそういうものが一切ない、もしくはさりげない心理描写がめちゃめちゃとんがっているのです。これは、現代の表現作品のあるひとつの到達点に達しています。思えば、第1巻の第1話のすずちゃんが泣いたシーンから始まっていたのでしょう。作者の手管に引っかかっていることはわかってはいるのですが、感動してしまいます。
また、作者が取材しているのか、それとも友人にいるのか定かではありませんが、それぞれの業界事情がリアリティをもっているのも素晴らしいです。本当にこのような作品は、きちんとアニメにしてほしいものです。
- 作者: 吉田秋生
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: コミック
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