ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『海街diary 3巻 陽のあたる坂道』吉田秋生,小学館,2010/02

 吉田秋生氏の新作第3巻です。私は1・2巻とも評しており、とくに2巻のときは最大級の評価をしたのですが、本巻になって、もう「すごい」としか言いようのない作品となっています。ミステリでも萌えものでも、ある種のとんがっている部分がないと面白く感じないのですが、本作ではそういうものが一切ない、もしくはさりげない心理描写がめちゃめちゃとんがっているのです。これは、現代の表現作品のあるひとつの到達点に達しています。思えば、第1巻の第1話のすずちゃんが泣いたシーンから始まっていたのでしょう。作者の手管に引っかかっていることはわかってはいるのですが、感動してしまいます。

 また、作者が取材しているのか、それとも友人にいるのか定かではありませんが、それぞれの業界事情がリアリティをもっているのも素晴らしいです。本当にこのような作品は、きちんとアニメにしてほしいものです。

海街diary 3 陽のあたる坂道 (フラワーコミックス)

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