ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『薔薇は死を夢見る』レジナルド・ヒル, 嵯峨静江訳,早川書房,1983→1985

 ダルジール警視シリーズ第7作目の作品。昔はヒルの良さがわかりませんでしたが、『闇の淵』から理解できるようになったみたいです。じわじわ流れる日常が少しずつ変化して、ある時に世界がグンニャリしてしまうような感覚を味わうことができ、それが病みつきになりそうです。謎解きミステリ作家だと紹介されていたから期待はずれと感じていたんでしょうね。

 当社の社員の一人の男が自動車事故や心臓発作にみせかけて連続殺人を行っているのではないかと訴えがその会社会長からあった。その理由は、彼らが亡くなっていることで、普通のありきたりな能力しか持たない、ある会計の男が出世しているからだとのことだった。バスコーは気になって、その男の周囲をかぎ回ってみたところ、他にもそれらしき死亡事件があることがわかる。その誰が見ても目立たない善良な薔薇を愛する男が、殺人を行ったのか、決定的な証拠を掴もうとするのだが…。

 展開がゆったりで殺人も起きないので読者を選ぶのでしょうが、人を疑うことについて身もだえするような感覚を味わいたい人には絶好の作品。ああ、そういうオチですか、とラストに少し唸ってしまいます。☆☆☆☆です。

薔薇は死を夢見る (ハヤカワ・ポケット・ミステリ―ダルジール警視シリーズ (1459))

薔薇は死を夢見る (ハヤカワ・ポケット・ミステリ―ダルジール警視シリーズ (1459))

 アマゾンではポケミスのカバーが表示されないため、以下は原著をリンク。復刊されているのか、ペーパバック化されてるのかわかりませんが、昨年出版されています。人気があるんですね。

Deadheads

Deadheads

 以下は、表紙が笑えて面白い。

Deadheads: 2500 Headwords (Oxford Bookworms ELT)

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