モース主任警部シリーズ第5作めで、英国推理作家協会賞シルヴァー・ダカー賞受賞。
モースがパーティの席上であったアンという女は魅力的だった。後日、モースはそのアンに会いに行ったが不在だった。そのまた後日、アンが自殺していたことを知ったモースは、アンは自殺するような性格ではない、何かの事件ではと思い、捜査を始める。
モースの捜査法は、とるに足らない事実から、妄想ともいうべき推理をして、それに沿って捜査を始めると、間違いだったことがわかる、ということを繰り返し、最後に想像できない正解にたどり着くというもの。その妄想推理のことを、僕なんかは「なんて無駄なことをしているのだろう」と思っちゃうんだけど、そうなったらこのシリーズをおもしろがることができないんでしょうね。本作品も同じでした。それでも前作は愉しめたような気がするのですが、本作品は☆☆☆★というところ。
ところで、このシリーズを読むたびに、モース以外の第三人称の視点での描写が多く割かれていることに、ちょっと違和感を抱いてしまいます。読者としては、モースと謎解き勝負をしたいのですが、作者のコリン・デクスターはモースとの勝負を許さず、作品全体を読者に提示して、謎解き勝負をします。これは、イギリスミステリにしばしば見られ、サスペンスの盛りあげるためであり、それがフェアなんでしょうが、アンフェアな感じがして腑に落ちません……。
- 作者: コリンデクスター,Colin Dexter,大庭忠男
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1993/03
- メディア: 文庫
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以下は原著。デザインは普通ですなあ。でも、ハヤカワ文庫のほうがいいですね。
The Dead of Jericho (Pan Crime)
- 作者: Colin Dexter
- 出版社/メーカー: Pan Books
- 発売日: 1983/03/11
- メディア: ペーパーバック
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