hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

『ジェリコ街の女』コリン・デクスター,大庭忠男訳,早川書房,1981→1993――探偵と勝負か、作者と勝負か、それが問題だ!

 モース主任警部シリーズ第5作めで、英国推理作家協会賞シルヴァー・ダカー賞受賞。

 モースがパーティの席上であったアンという女は魅力的だった。後日、モースはそのアンに会いに行ったが不在だった。そのまた後日、アンが自殺していたことを知ったモースは、アンは自殺するような性格ではない、何かの事件ではと思い、捜査を始める。

 モースの捜査法は、とるに足らない事実から、妄想ともいうべき推理をして、それに沿って捜査を始めると、間違いだったことがわかる、ということを繰り返し、最後に想像できない正解にたどり着くというもの。その妄想推理のことを、僕なんかは「なんて無駄なことをしているのだろう」と思っちゃうんだけど、そうなったらこのシリーズをおもしろがることができないんでしょうね。本作品も同じでした。それでも前作は愉しめたような気がするのですが、本作品は☆☆☆★というところ。

 ところで、このシリーズを読むたびに、モース以外の第三人称の視点での描写が多く割かれていることに、ちょっと違和感を抱いてしまいます。読者としては、モースと謎解き勝負をしたいのですが、作者のコリン・デクスターはモースとの勝負を許さず、作品全体を読者に提示して、謎解き勝負をします。これは、イギリスミステリにしばしば見られ、サスペンスの盛りあげるためであり、それがフェアなんでしょうが、アンフェアな感じがして腑に落ちません……。

ジェリコ街の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ジェリコ街の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 以下は原著。デザインは普通ですなあ。でも、ハヤカワ文庫のほうがいいですね。

The Dead of Jericho (Pan Crime)

The Dead of Jericho (Pan Crime)