ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『仕事するのにオフィスはいらない』佐々木俊尚,光文社新書,2009/07

 昨年、本書が発行され、書店でパラパラと立ち読みをしたとき、「ふうん、こういう人もいるんだな。いずれ僕もこのようになっていくのだろうけど、まだまだ先だな」と判断していたのです。しかし最近思うところがあって、本書を読みたいと池袋の書店をジュンク堂、リブロとハシゴしたのですが新書コーナーに見つからず購入を諦めていたところ、会社で持っている人がいて「貸してくれ」と頼んだら「あげるよ」とあっさりもらいました。

 書店に置いていないのは、光文社は本書の内容の性質上、あまりにも時代に沿いすぎていて、これ以上売れないだろうと増刷をせず、売れきりを考えているのですかねえ? まあ、それも一つの判断ですが。

 本書の内容はといいますと、オフィスをもたず、フリーランスになって、契約で仕事をする、ホワイトカラーの労働形態が始まりつつあり、それを実践するにはどのようにしたらよいのか、が著者の実体験を交えて解説したものです。その労働形態の前条件として、グーグルをはじめとするネットサービスがそれを実現させているとしているのですが、その一つに、iフォン(本書ではそのように表記されています。「アイフォーン」よりはいいですね)などのスマートフォンを駆使することが挙げられているのですが、昨年の私はそれにピンと来なかったのでしょう。iフォンを持つようになってから、本当に今までできなかったスケジュール管理がスムーズにできるようになるなど、本当に変わり、本書で書かれていることに現実味を感じるようになりましたね。

 それを実現するためには、アテンション、情報、仲間とのコラボレーションの3つのコントロールを挙げているのですが、面白いのが、このアテンション、つまり注意力・集中力のコントロールについて。人間には集中できる時間とできない時間があり、それをコントロールすることで、このアテンションをコントロールするというのは、まあ誰もが無意識的にしているとはいえ、うーむ、なるほどと唸るものでありました。

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)