ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『靴に棲む老婆』エラリー・クイーン, 井上勇訳,東京創元社,1943→1997

 クイーン16作目の作品。前年に『災厄の町』を発表しており、クイーン中期の作品といえます。

 「靴に棲む老婆」とは、靴製造会社で巨万の富を稼いだ会社社長の老婆のことで、その老婆社長には、前夫の間に二人の息子と一人娘、二番目の夫との間に三人息子、計六人の子どもがおり、その中の二人が殺されるというストーリー。

 本作を読むと、クイーンほどの巨匠になると、最高傑作とはいえないけど、どの作品も最低限のレベルは達していることがわかります。きちんとした謎の提示があり、中途のサスペンスと不可思議性があり、論理にしたがって犯人を捜した後、さらに真犯人を指摘してみせるという、「ここまでしっかり構成ができていれば面白くならないよな」と思わせてくれます。☆☆☆★といったところ。

靴に棲む老婆 (創元推理文庫)

靴に棲む老婆 (創元推理文庫)