ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『敗北への凱旋―連城三紀彦傑作推理コレクション』連城三紀彦,角川春樹事務所,1999

 本書は、連城氏長篇第2作目の作品なんですか? 傑作推理コレクションの6作目ですし、すでに直木賞受賞後していたときの作品ですので、初期という感じがしませんでしたが、調べてみて少しオドロキ。

 一言でいってしまえば、トンデモミステリ。連城氏がこんな大がかりといえば大がかりといえるミステリを書くとは! 解決編を読んで、「えっ、こんなのでいいの?」と思いましたからね。恋愛のもつれは連城氏らしいなあと思いますが、当たるわけがない非常に複雑な解くのに専門的知識を必要とする暗号、そして何といっても、犯人の動機とその方法がめちゃくちゃ。その方法は、ある有名な探偵が比喩として挙げたものを現実化してしまうというもの。

 ――と書きつつも、そのとんでもなさはなかなか味わえないので、評価は少し甘くして、☆☆☆★というところ。ミステリ好きでしたら、読んで損はありません。

敗北への凱旋―連城三紀彦傑作推理コレクション (ハルキ文庫)

敗北への凱旋―連城三紀彦傑作推理コレクション (ハルキ文庫)