ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『大聖堂〈上〉』ケン・フォレット, 矢野浩三郎訳,新潮社,1989→1991

 最近、ソフトバンク文庫版も出版されていますが、あえて新潮文庫版をブックオフで購入。長くて長くて、とりあえず上巻を読んだところ。4〜5年ぐらい前に友人から「とにかく面白い」と語られて、いつか読もうと購入していたのですが、あまりの長さに積ん読のままだったのです……。

 上・中・下という長さから、一冊あたり一世代で三世代で大聖堂を建立する物語かなあと思っていたら、上巻の終わりの時点で未だ着手もされていないことに呆然。また、大聖堂が8〜9年で建てられてしまうことにもオドロキ。そして、作者ケン・フォレットの読者を飽きさせないスリリングな仕掛けに感服です。

 本巻のジャックがオンボロの大聖堂に火をつけてしまう描写のくだりは、名人域に達していますので、それだけで読む価値ありですよ。これはすごいです。読みながら、「エヴァ」の18話か19話において、シンジがエヴァのパイロットを拒否してグルフを辞めて、町をぶらついていたところに使徒が現れたとき、使途から逃げ回りたいという心情とは裏腹に、そこに近づいてしまうお話がありましたが、それを思い出しました。

大聖堂〈上〉 (新潮文庫)

大聖堂〈上〉 (新潮文庫)