モース主任警部シリーズ第6作めの作品。ちなみにタイトルの意味はよく分かりません。おそらくは出典があるのではないかと思いますが。
河から上がった死体は四肢どころか首まで切断されていた。死体がもっていた業の半分しか読むことができない手紙から、殺されたのは行方不明の大学教授と捜査を始めた。しかし、その大学教授から私を捜さないでくれという手紙が来る。いったい死体は誰なのか?
毎日少しずつ読んでいたので、最後に至ってもストーリーはちんぷんかんぷん。で、もう一度簡単にストーリーのアウトラインを追っていくと、ようやく、ああ、なるほどと分かる次第。
捜査を行ううちに、さらに死体が次々と発見されて、えっ、一体どういうこと、と頭の中にクエスチョンマークが渦巻いてしまいます。ストーリー展開も文字面としては意味が分かるのですが、あまりにも都合の良い展開とあっさりした描写のために、一読だけでは意味がつかめず再読が必要になります。トリックそのものは、複雑そうに見えて、分かってしまえば極めてシンプル。なのですが、それはモース警部が推理として説明するだけで証明しないので、いまいち釈然としませんでした。それでも、そのシンプルさに惹かれて、☆☆☆★です。
前回の『ジェリコ街の女』でも記しましたが、コリン・デクスターは本書でも「読者vs探偵」ではなく「読者vs作者」というミステリ観に基づいて書かれていて、どうしても違和感をもってしまいます。それは作者のせいではなく、私のミステリ観が歪んでいるということなのでしょう。でも、同意する人は結構いるんじゃないのかな?
- 作者: コリンデクスター,Colin Dexter,大庭忠男
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1993/09
- メディア: 文庫
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