ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『13階段』高野和明、講談社、2001→2004

 このほど直木賞の候補になった高野氏の江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作。歴代の乱歩賞のなかでも評判が高く、映画化もされています。
 傷害致死で2年間服役していた27歳の三上が出所した。しかし、三上の犯罪による損害賠償金のため家族は借金を背負い、決して社会復帰できる大成ではなかった。そこに刑務官の南郷という男が、弁護士事務所の手伝いと称し、1000万という大金の報酬を約束された仕事をしないかと誘ってきた。それは「死刑囚の冤罪を晴らす」ために調査をしてくれないかというものだった。
 事件の被害者は保護司をしていた宇津木という男と妻の老夫婦で自宅でなたで惨殺された。同時刻に近辺で事故を起こしたつかまった22歳の樹原という男が、宇津木の財布を持っていたことから逮捕された。宇津木の預金通帳や凶器は発見されなかったが、樹原は裁判で死刑を言い渡されていたのだった。樹原はその当時の記憶を失っていたのである。二人は、真犯人を捜すべく、当時の関係者にあたったり、失われた凶器を探すのだが……。
 いかにも乱歩賞らしく、冒頭から中途までは少し退屈するけど、中途から最後まではノンストップ・サスペンスでした。大きな謎というわけではありませんが、十分に不可解な謎の提示、結末までのどんでん返しを含む意外性など申し分ありませんが、☆☆☆★です。しかし、ラストが少し分かりませんでした。ひょっとしたらリドルストーリーなんでしょうか?

13階段 (講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)