リューイン11作目の作品。主人公がソシアル・ワーカー(ソーシャル・ワーカーのことでしょう)のアデル・パフィントンという女性で探偵役となっています。
アデルは民間の福祉事務所に勤めていた。ある夜、アデルが仕事をしていたところ若い強盗の男が侵入してきた。彼は数件のケースのファイルをコピーしていったのである。さらに別件で、劇作家の男から、自分のアパートの他の部屋に住んでいるドナという女性と小さな双子の子どもたちが、ある日失踪してしまったという訴えがあった。
そんなとき、身元不明の男の死体が発見され、「手を引け、ソシアル・ワーカーども」というメモ書きがピンで留められていたと新聞で報道された。その死体の男はブライアン・ウォンプラー名義の免許書を持っており、彼はアデルの事務所に勤めていたのである。死体はブライアンではなかったが、次に狙われるのはブライアンであると不安に感じた事務所の面々はブライアンを探す。一方警察は、事務所に侵入した男と殺人犯は同一人物の可能性が高いと踏んで、目撃者であるアデルに注意を促す。
アデルは失踪したドナについて福祉局の知り合いに調査を頼むと、ドナは17歳時に出産をし22歳現在まで5人の子どもを産んでいるという。3人の子どもたちはどこへ消えたのか? アデルはこの消えた母親の生活を知りたいという強い欲求に導かれ、捜索を始めるのだが……。以前ドナが住んでいたアパートの住民を訪ね、ドナの男友達の情報を得る。
また、侵入男がコピーしたファイルの女性がブライアンの担当だったので訪ねると、その女性は未だにブライアンが訪問していると聞いて、アデルはショックを受ける。アデルは養子斡旋センターに勤めているブライアンを訪ねてみると……。
謎の不可思議性、次々にヒントと謎が現れるストーリー構成、クライマックスとエンディングが非常にうまく展開されています。最後に真実が明かされますが、久しぶりにドキドキしました。☆☆☆☆★の傑作だと思います。
- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/04
- メディア: 文庫
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