ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『わが職業は死』P.D.ジェイムズ, 青木久恵訳,早川書房,1977→2002

 ジェイムズの第7作目の作品。ダルグリッシュ警視長もの。読み飛ばしをしてしまったためか、ラストシーンが唐突のように感じてしまい、☆☆☆というところ。密室トリックをどう評価するかでしょう。トリックはいたって平凡ですが、伏線はきちんと張られているので、まったくわかりませんでした。本書は、人間関係が複雑に入り組んでいすぎて、リアリティがないとすら感じました。まあ、そう感じると言うことは、ジェイムズは私には合わなかったということです。コリン・デクスターのときにもしばしば書いていますが、イギリスの小説に特徴的な、複数の視点による描写にどうしても違和感が残ります。読者との謎解きを諦めているかのように感じて、がっかりしてしまいます。