CIAに現存する「正力ファイル」に記録された、日本にどのようにして原発が導入されたか、その経緯を述べたもの。佐野眞一氏の傑作『巨怪伝―正力松太郎と影武者たちの一世紀』から引き続いて読むと面白さ抜群です。『巨怪伝 外伝』といってもよいでしょう。
衆院議員に当選した正力松太郎・讀賣新聞社主は、総理大臣への野望に燃え上がっていた。それには、政治キャリアなどがなかったが、無限のエネルギーである原子力発電を主導的に導入することによりキャリアと力を形成することによって実現させようとした。一方アメリカ・CIAも日本に原子力を売り込もうと必死で、そのために利用したのが正力だった。正力とCIAの野望が結びついたものが、原子力エネルギーだったのだ。正力は自ら握っていたメディア力などを駆使して、原子力導入に成功するのだが――。それぞれの思惑が、一つの目的に費やされた日本がよくわかるノンフィクションでした。
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