ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『バースへの帰還』ピーター・ラヴゼイ, 山本やよい訳,早川書房,1995→2000

 ピーター・ダイヤモンド警視シリーズ第3作。英国推理作家協会賞シルヴァー・ダカー賞受賞作。私は、『最後の刑事』『単独捜査』を読んでいると思うのですが全く内容の記憶がありません。ダイヤモンドのキャラクターの造形がチグハグで、はまらないなあと感じていました。ラヴゼイがなんか無理しているような、端的にいえば滑っている気がするのです。

 刑務所から一人の男が脱獄するところから始まる。脱獄犯マウントジョイは、元警視のピーター・ダイアモンドに4年前、女性ジャーナリスト殺人事件で逮捕されたのだった。マウントジョイは警察署副本部長の娘を誘拐し、ダイアモンドを呼び出し、その殺人事件の再捜査を要求したのである。ダイアモンドは警察署の要請を引き受け、女性警部とコンビを組んで、再捜査に乗り出したが、真犯人がマウントジョイでなかったという目撃状況を得てしまった。真犯人捜査のために当時の関係者に聞き込みを始めた。

 警察に所属していない者に捜査をさせるための設定が、なんと自分が誤認逮捕した男であるというもの。女性ジャーナリストには様々な交友関係があり、次第に絞られていく過程がスリリングで、謎解きも目新しいものはありませんが堅実(ですが、私はまったくわかりませんでした。トホホ……)です。しかし前述の理由により、本書でも少し評価を下げて、☆☆☆★というところです。

バースへの帰還 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

バースへの帰還 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

↓下は原著。

The Summons

The Summons

↓は『服用量に注意のこと』の感想。
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