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hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

「詩学――創作論」『世界の名著 8 アリストテレス』アリストテレス, 田中美知太郎訳,中央公論新社,前340年代→1979.

 ギリシャの哲人アリストテレスの詩作(創作物)における創作論。以下は覚え書きです。読んでいると、『オデュッセイア』を批判していたり、創作オタクの評論のような気がしてきて、非常に興味深いです。

  • まず、詩(創作物)と、その作者である作家(詩人)の定義を解説。表現方法としてリズム・言葉・音曲を用いているものをいう。韻律を使用した文章だからといって、詩(創作物)にはならない。
  • その描写すべき対象は、優れた人間あるいは劣った人間であり(つまり平凡な人間ではないということでしょうか?)、そのなかで喜劇は我々の周囲にいる人々よりも劣った人物を、悲劇は優れた人物を描写したものである。
  • 視点としては、作者本人あるいは登場人物の一人の一人称、劇形式の三人称がある。
  • なぜ創作(詩作)がなされるようになったのか。その起源は、人間は生まれながらにして描写(まね)を行い、人間はまね(描写)されれば誰でも喜ぶものだからとしている。そのために悲劇と喜劇が生まれたと。
  • 悲劇の定義として、(1)人間のまじめで厳粛な「行為」を描写していること、(2)その描写が心地よい言葉でなされていること、(3)登場人物がその通りに行動していること、(4)いたましさと恐れをテーマとし、感情のカタルシスを目的とするものとしている。また悲劇のなかで人の心を動かす最大のものを、運命の『逆転』と真相の『認知』としている。
  • したがって、悲劇の第一原理を「物語」とし、第二原理を「登場人物の性格」、第三原理を物語る能力に必要な「知性」としている。
  • その物語(ミュートス)には、単純な物語と複合的な物語がある。主人公に変化がない物語を単純な行為と呼び、ある行為により登場人物が無知から知へ転換し、それに伴い愛憎の感情が転換するような物語を複合的な行為と呼んで、優れた物語にはその二つの要素が必要である。
  • 叙事詩(これは長文の物語のことをいっているのでしょうか?)は、悲劇と同様に始まりと終わりのある物語として構成されるべきである。また、一人の人間、一つの期間、一つの行為について語られるべきである。その種類は悲劇と同様に「単純」「複合的」があり、また「性格的」「苦難的」である。
  • 作者自身が果たすべき役割として、(1)作家自身が作品中に現れて語ることを控えること(少ない前置き)、(2)キャラが無性格でなくはっきりしているこであり、ホメロスだけがそれを行っている。
  • 作者は、「驚き」を想像しなくてはならない。なぜなら驚きは喜びを同義だからである。また、その嘘ごとを語るのに説得力をもたなくてはならない。不合理な物語は避けるべきである。
  • 批評の方法について解説。創作の技術は、社会国家のための技術、学問的な技術とは全く異なるものであることを念頭に置くべきである。
  • 批評家が行う批判は、その作品そのものまたは一部が、(1)不可能である、(2)不合理である、(3)有害である、(4)矛盾がある、(5)不正確である、と5つあるが、作者の狙いをきちんと踏まえた上でなされるべきである。

世界の名著 8 アリストテレス (中公バックス)

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