ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

「発表! 新書大賞2012」『中央公論 2012年 03月号』2012

 数年前の新書ブームと言われている頃から始まったと思しきこの企画ですが、ここのところどの新書がよいのか全くわからなくなってしまったので、このようなブックガイドはうれしいものです。新書通67名が厳選したベスト20が挙げられています。それでもあまり読みたいと思うものが少ないのも残念。
 私の希望とする新書は、気鋭の若手から巨匠までを著者とした、ボリュームはないけれど、基礎文献になるような重厚な入門書で、そういうものがもっと増えるといいですね。
 また、この号の特集「"迷惑施設"のゆくえ」という切り口も、日頃かかえる割り切れない思いを表現していました。迷惑施設とは、米軍基地、原発、ゴミ処理施設、火葬場、精神科病院、墓場など、作ろうとすると地域で反対運動が起こって、なかなか作ることができない施設のこと。この号では問題提起に過ぎませんが、今後、この切り口で迷惑施設という言葉から別の言葉に変えて、対処されることになるでしょう。私もこの切り口で一冊書籍を編集してみたいな……。マニュアル仕立てにすれば売れるかもしれませんが、書き手を探すのが難しそうですね。

中央公論 2012年 03月号 [雑誌]

中央公論 2012年 03月号 [雑誌]