ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『冬の灯台が語るとき』ヨハン・テオリン, 三角和代訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,2008→2012

 作者はスウェーデンのジャーナリスト。本書はデビュー作『黄昏に眠る秋』に続く第2作。表4に「スウェーデン推理作家アカデミー賞長篇賞、英国摺作家協会賞インターナショナル・ダカー賞、「ガラスの鍵」賞の三冠に輝く傑作ミステリ」と紹介されていること、そういえば『黄昏に眠る秋』も評価されていたなあと、興味をもって購入しました。その後、『このミス』で調べてみると、ベストに入っておりませんでしたが……。

 スウェーデンの東南にある、東西に長い孤島で、長い橋で本土と繋がっているエーランド島が舞台。その島にヨアキムは、ストックホルムから妻のカトリン、子ども二人とともに移住してきた。ぼろぼろの古い屋敷を購入して、少しずつリフォームして暮らすつもりだった。一方、島には退屈しているが金は欲しがる不良どもがいた。彼らは、不在にしている別荘などを強盗しようとする……。また、島には久しぶりの新任の警察官が赴任してきた……。ヨアキムが一日ストックホルムに行ったその日、カトリンが海におぼれて死体で発見された。ショックを受けたヨアキムは気力を失っていく……。カトリンが死んだのは事故だったのか? 自殺だったのか? 次第に殺人ではなかったかとヨアキムは疑っていくのだが……。

 この後、捜査が続き、カトリンの死がもたらす波紋が大きく、昔の人間関係が晒されていくのですが、その展開はミステリというよりも、さまざまな登場人物が複雑に絡み合っていき、必然の流れのように感じます。クリスマスに死者が集まるというスウェーデンの民話がストーリーに絡みます。しかし、視点が多すぎること、謎解きの要素が少なく、最後に真相が暴かれるのですが……。まあ、このようなゴシック調のお話は私には合わないということで☆☆☆です。

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)