マット・スタガー・シリーズの第14作目の作品。だんだん残りが少なくなってきました。
前作『処刑宣告』までは、ハードボイルド+謎解きミステリの融合をはかるというか、ハードボイルドを物語として成り立たせるために謎解き要素を取り込んだように感じましたが、本作では一転、謎解きの要素は少なくなり、ハードボイルドというよりも、暴力小説のような感じすらしました。後半は「これがスカダーシリーズなの?」と思ったぐらいです。これは、時代の要請だったのか、それともブロックの迷走なのか、わかりません。
途中、『八百万』を思わせる感動シーンがあるものの、やはり後半の展開はやや不自然だと思います。コミックミステリ(たとえばバーニイシリーズ)でしたら、このような展開もアリでしょう。しかし、年齢を重ねた元アルコール依存症者には不可能ではないでしょうか。したがって非常に厳しめに☆☆☆です。語り口は、もうこれはブロックでしか味わえない極上のものであり、意外な展開もあるのですが、それさえもうっとうしく感じてしまうほどです。
- 作者: ローレンスブロック,Lawrence Block,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2006/03
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る