ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『10年メシが食える漫画家入門――悪魔の脚本 魔法のデッサン』樹崎聖,講談社アフタヌーン新書,2009

 偶然、Amazonのレビューを読んで、あまりの絶賛の内容に興味を持っていた新書です。先日、近場のブックオフで新書の棚を総ざらいしていたら、タイトルが目に飛び込みました。

 全二章の構成になっていて、第一章が「悪魔の脚本術」、第二章が「魔法のデッサン」。画を上手く描くことができないほとんどの人と同様に第二章が「なるほど」とうなってしまうデッサンの取り方が書かれています。パースをつけたとしても変な図になるようなあ、と感じていたのですが、このような方法だったとはとオドロキです。まあ、私はデッサンの本など読んだことがない素人ですので、他所に書かれているのかもしれませんが……。

 また、あとがきで書かれていた、専門学校のマンガ学科の非常勤講師の講義をもとにしたという、本書の成立過程も興味深い。確か大塚英志の新書も同じでした(こちらは講義のテキストを作りたいという感じでしたが)。そのようなネタの探し方も改めて思い出させてくれました。

 そういえば、この「講談社アフタヌーン新書」はラインナップがオタク新書の趣があってユニークで面白かったのに、16冊で終わってしまったのですねえ。講談社ですから新書の作り方や売り方をしっかり持っていたはずなのに、やはり売れなかったのでしょうか。残念です。