本作はデンマークの作家の現代警察小説。内容は、テレビドラマ「相棒」+マンガ「オールドボーイ」。しかもキャラは立ちっぱなし。なんというか、キャラ立ちの海外ミステリしか翻訳されていないような気がする。
作者は、先日のエド・マクベインの87分署シリーズが現代警察小説の流れを汲みつつも、今の時代にミステリ・エンタメを成立させるにはどうしたらよいか、それを真剣に考え、もう過去には戻ることができないことを、ある一つの結論として示したものといえるでしょう。
デンマーク党が警察改革案として掲げた内容が、未解決事件を改めて捜査する新部署「特捜部Q」の新設だった。その責任者に就任したのがカール・マーク、そして部下がアザドというシリア系が1人だった。カールは前の事件で仲間の1人が射殺され、もう1人が脊損による四肢麻痺を伴う障害を負っており、精神的に働ける状態ではなかった。特捜部Qの就任はいわば左遷のようなものだった。未解決事件の分類から始めたQで、アザドが興味をもったのが、民主党副党首のミレーデ・ルンゴーが船上から失踪してしまった事件であった。2人は過去の関係者に当たり始める――。
過去と現代のそれぞれのシーンが交互に語られ、ラストでは合流するという構成、犯人が檻の中に閉じ込めたアイデアなどにうなったのですが、☆☆☆★というところです。スリラー的要素が強く、謎解き要素がもう少しほしかったという好みも問題でその点数です。
特捜部Q ―檻の中の女― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1848)
- 作者: ユッシ・エーズラ・オールスン,吉田奈保子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/06/10
- メディア: 単行本
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