ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ボトルネック』米澤穂信,新潮文庫,2006→2009.

 パラレルワールドもののSFミステリ…ではないか。むしろSFと言い切っていいと思います。

 主人公の嵯峨野リョウは2年前東尋坊の崖から落ちて死んでしまった恋人当時中2のノゾミを弔うために、現場に花を持って赴いた。そこで思わぬことから意識を失い、再び目を覚ました。自宅に戻ると嵯峨野サキと名乗る女性がいた。話し合ううちに、ここはリョウがいない世界であることがわかった……。そこでは、ノゾミが生きていたのである。自分が存在しない世界の結果を見せつけられるリョウは、次第に不安定になっていく……。

 もし自分が存在しなかったらどのようになっているのか、誰もが若い頃に一度は考えることを示したものです。若いときに読めばよいのでしょうが、私は起こってしまったことはどうしようもないだろう、と考えてしまうため、あまり感情移入ができませんでした。☆☆☆★というところです。

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)