hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

『64(ロクヨン)』横山秀夫,文藝春秋,2012

 横山氏の執筆期間を長くかけた新刊で、このミステリーがすごい!および週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得するなど非常に評判がよい作品です。

 警察署の広報官が主人公で、17年前の未解決の誘拐殺人事件にからむ署内の権力争い、不祥事に対する記者クラブとの交渉など、さまざまなことが語られます。

 とにかく640ページ強という長い作品で、読むのが大変でした。横山氏の作品は、三人称で三上の一視点で語られるのですが、主人公の心情を並べることによってストーリーが進むため、それに共感する人にとってはよいのでしょうが、合わない人にとっては面白さを感じないでしょうね。

 謎そのものですが、横山氏は丹念に伏線を張っているので、○○の態度が変化したのはどういうことなのだろう、と追っていくと、最後の犯人を推測するのは難しくありません。ただ、方法まで推理するのは難しいでしょう。

 おそらく横山氏にとって、広報と記者クラブの問題は、いつか語らなくてはならなかったことなのでしょう。直前に『桶川ストーカー事件』を読んでいた身としては「おまえら警察の発表にばかり頼らないで自分でウラをとりにいかんかい。甘えすぎだ」と感じるくらいの情けない描写をしております。本書は私には合わない文体と描写法にもかかわらず、そのような新しい視点を示していた必読書として、☆☆☆★というところです。

 それにしても、結果論ばかりで物事を判断してはいけないなあ。あらゆる結果を想定しての判断であり、それを鑑みなくてはなりませんね。

 ちなみに主人公の部下の女性広報官を『サイコパス』の常守朱(声-花澤香菜)で脳内再生して読んでおりました。

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)