ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『家族の違和感・親子の違和感―精神科医が読み解く「幸・不幸」』春日武彦,金子書房,2010

 精神的に病んだり問題のある人とその家族に焦点をあてて書かれたエッセイ集。タイトルの「違和感」にあるとおり、その違和感を切り口にすえていて、新しい分類法になっているような感じがします。例えば、「コントロール願望」という言葉。自分をコントロールすること、他者をコントロールすること、これらは例えばパーソナリティ障害では過剰にもつ人ではある。そのためには自殺を図ったりすることすらある。けれど、これは多かれ少なかれ誰もがもつ願望であり、その境界は地続きなのではないか、というようなことです。他にも「こだわり」「自尊心」「罪悪感と自己嫌悪」「秘密」「劣等感」「孤独」「信頼感」などがキーワードとして挙げられています。

家族の違和感・親子の違和感―精神科医が読み解く「幸・不幸」

家族の違和感・親子の違和感―精神科医が読み解く「幸・不幸」