ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『3日もあれば海外旅行』吉田友和,光文社新書,2012

 発売当初、書店で見かけて気になっていた新書です。それは長期の休みはなかなか取れないものの、土日合わせて3日ならば仕事のスケジュールを計画的に進めることができれば、結構計画的に休日がとれるので、その間だけでも旅行ができるなあと思っていた矢先でした。そういう人が増えているのでしょう。

 最近、書店で見かけたとき、「○万部突破」(○の部分を忘れてしまいましたが……)というオビとともに、カバーが表1から表4まで全面が写真に掛け替えられてデザインされていました。出版社としては、普通に期待せずに出版したところ、宣伝もしないにもかかわらず書店に置くと何故か売れてしまう商品で、派手ではないけれども、書店注文が途切れずあって、少しずつ増刷回数を重ねていくのにおよんで、これは力を入れて売ってみるか、という商品だったのだと想像します。私が担当した中でも、実際そのような売れ行きをする書籍があって、担当者としてもとても嬉しいものです(なぜなら返品が少ないから)。

 版元が期待していなかったのではないか、というのは、本書を読み終えるまで知らなかったのですが、同じ著者を含めて類書が多く出版されているからです。営業としては、類書が多い中売れるわけがないと思うのも仕方ありません。

 しかし、新書という中では、類書がなかった。探せばあるのかもしれませんが、特にLCCについてですが、労働環境が整備されてきたこと、格安旅行ができるようになったこと、交通が便利になったこと、インターネットによる予約が簡便になったことなど、サラリーマンでも旅行できる環境が出そろった、この時期に「新書」として発行したタイミングが良かったと思われます。

 内容としては、著者も後書きで書かれているように、ボリュームの関係で、インターネットで入手できる情報と大差ありません。しかしバラバラなインターネット情報を簡便にまとめているところが非常に便利です。私としては、企画の勝利を見ることができたという意味で読んでよかったですね。

 でも、上記のことは、あくまで私の想像ですので信用しないで下さい。

3日もあれば海外旅行 (光文社新書)

3日もあれば海外旅行 (光文社新書)