ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ノックス・マシン』法月綸太郎,角川書店,2013

 法月氏の今年3月に発行された新作。発売当時にタイトルからハードミステリではないかと興味をもって読もうとしたのですが、あとがきをみたら『本書には「本格」SF(本格ミステリを主題にしたSFの意)の中短編を四編収めました』としていたので手を引いたのですが、最近の日本ミステリのランキングで上位に挙げられていたことから読んでみた次第。

 「ノックス・マシン」「引き立て役倶楽部の陰謀」「バベルの牢獄」「論理蒸発――ノックス・マシン2」の4編のですが、前半2編はまあまあ面白かったのですが、後半2編は中途からストーリーが理解できなくなってしまい、その部分にさしかかると眠くなるので、理解できるところまですっ飛ばしました。

 しかし前半2編でも、生粋のミステリマニアでないと面白がれないというか、理解できない作品ですよね。最後の「論理蒸発」なんて、クイーンの『シャム双生児の謎』の謎に対してSF的思考をめぐらしたものです。というわけで、ミステリとしてではなく面白さを鑑みて☆☆☆というところです。ホラ話的なSFとしては評価が高いのでしょうが、ねえ。

 話は変わりますが、あとがきに、ウィキペディアも参照したというようなことを書かれていますが、それはやめておいた方がよいのではないでしょうか。ウィキペディアの内容は文献としては最低ランクで、たとえ参照したとしても、その裏をとる必要があるからです。それでしたらその裏取りした文献を参考文献として掲載すればよい話です。まあ間違っていた場合、作者に責があるとしているのですが……。

 また、本書の用紙が普通より少し厚いクリームを使用しているのは、読みやすくてよかたです。