ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『叫びと祈り』梓崎優,東京創元社,2010

 さて、書評された内容で自分に合うかもしれないと、かねがね気になっていた新人のミステリ短編集です。アラビアの砂漠、スペインの風車、ロシアの修道院、ブラジルのアマゾンなどを舞台にした、一人の日本人の青年が主人公の連作ミステリが5作収録されています。このくらいの予備知識で読み始めたので、表題から「叫び」と「祈り」が本書の中で自信作なのかなと思っていましたら、実際は違っていました。

 新しい密室の提示、斬新なトリック、きれいな文体など長所がありますが、視点の乱れが気になって、☆☆☆★というところです。評判があまりよくない第2作が結構好きですね。謎解きとしては反則かもしれませんが、物語としてはありというかんじで。

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)