京極氏の「弔堂」という古書店を舞台にした連作短編集。「臨終」「発心」「方便」「贖罪」「闕如」「未完」の6編。
舞台は明治時代。二葉亭四迷が『浮雲』を出版した頃。京極氏の作品は全部は読んでいないものの、初期作から中期までは読んでいる者としてですが、文体が講談調というのか、怪談調というのか分かりませんが、読者に語りかけるような文体が、いったいこの一人称は誰なんだろうと迷ってしまいます。作者なのか、「私」という一人称なのか、キャラクターの一人なのか。そのように読ませることは作者の企みなのでしょうが、読者は混乱するだけです。面白さが半減してしまいます。
また、京極作品には三名しかいないのではないかと感じます。話している内容を違うものにしているだけで、キャラクターそのものが同じように感じるのです。京極堂シリーズはライトノベルのノリでしたから、さまざまなキャラクターが出て言いたようの思いますが、その後の作品ではどれも同じようにしか感じません。そういうわけで、☆☆☆というところです。歴史小説が好きな人でしたら、もっと愉しめるでしょう。
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/11/26
- メディア: 単行本
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