あの桶川ストーカー殺人事件の清水氏の新刊ということ、その書評で絶賛されていたことから自宅のそばの書店で購入しました。これは、1979年以降、群馬県・栃木県の県境付近で起きた幼女の誘拐・殺人事件を清水氏が独自に追っていたものの集大成。テレビで報道されていたのは知りませんでしたが、『文藝春秋』の告発の中刷り広告で知っていました。ああ、あの事件が一冊にまとまったのか、と。
冒頭、清水氏が未解決事件のキャンペーンを張らないかという日テレの上司の依頼から始まり、さまざまな資料を集めていたところから、ふと複数の幼女誘拐殺人事件に興味をもち、冤罪事件ではないかと調査を始めます。
本書は調査報道なのです。調査報道とは、ウィキペディアによると、以下のとおり説明されています。
あるテーマ、事件に対し、警察・検察や行政官庁、企業側からの情報によるリーク、広報、プレスリリースなどからだけの情報に頼らず(これを中心情報とする報道は発表報道)、取材する側が主体性と継続性を持って様々なソースから情報を積み上げていくことによって新事実を突き止めていこうとするタイプの報道。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E9%81%93 より)
また、清水氏は、犯人を特定しています。特定して警察に訴えているにもかかわらず、警察は捜査を行わない。その理由がこと細かに書かれています。警察のメンツなどではなく、捜査を行い、真犯人を逮捕したら、その理由によって、警察の威信を失ってしまうからです。この下りは、本当に読者としても腹が立つところです。
しかし、清水氏は何故犯人を特定したのでしょう。犯人は逃亡したり、自殺したりする可能性があるにもかかわらずです。おそらく、逃亡も自殺のあり得ない人物なのでしょう。いったいどのような人物なのか……。ひょっとしたら警察や司法関係者なのかもしれません。
- 作者: 清水潔
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/12/18
- メディア: 単行本
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