ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上)(下)』増田俊也,新潮文庫,2011,2014

 戦前から戦後にかけて柔道日本一として君臨した柔術家の木村政彦の一生涯を追っていったノンフィクション。第43回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回新潮ドキュメント賞受賞作で、非常に読み応えがあります。優れたノンフィクションには読者に幾通りもの読み方を強いますが、正にそのような作品で、柔道論であり、人物論であり、読み終えたときには、時代を追っていたことを実感します。