本書は、実際の戦術をネタにして解説していますが、ピッチのイラストがほとんどなく、フォーメーションやプレイを文章で説明しているため、テレビなどで見たことがあるゲームやシーンでしたら中身が理解できるのですが、見たことがないことも結構あるので、それは理解するのにしんどいものになっています。
ドリブル、キック、トラップ、パス回し、中央突破、サイド攻撃、攻守の切り替え、ディフェンス、プレッシング、ラインコントロールなどさまざまな切り口で語っているためか、それぞれが短く、視点も目新しいものではなくなっているような気がします。いずれもどこかで読んだことがある感じです。
ブラジルW杯が開催中ですが、日本は惨敗してしまって、マスコミも含めて、ショボーンとしてしまっていますね。明らかに、今回のW杯だけでいえば、失敗だったのですが、この4年間の進行具合をみれば、前回のベスト16の時よりも明らかに前進しているのがわかるので、マスコミを痛し痒しというところなのではないでしょうか。
今回でW杯そのものが特別なのだということがわかりました。サッカーという勝敗の結果に対して、不確実性が高い競技においては、舞台はどこであるか、選手・監督・スタッフなどがその舞台で最高のパフォーマンスを上げることが大変重要であるということです。今回がブラジルではなく、ザッケローニが熟知しているヨーロッパや日本であれば、今回のような結果は間違いなく出ないでしょう。実力が反映しているわけではないのです。
また、調子が悪くなるなど、あらゆる事態を想定して、プランAだけではなく、プランBを常に用意しておくことが重要です。攻めるだけ、守るだけという戦術ではなく、その両方をもっていなくては勝ち上がるのは難しいですね。今回は、直前の親善試合が良かったので、その弱点を強く突かれました。南アフリカでは試合直前に戦術を変更したので、相手チームが対応できなかったという側面があったと思います。
日本の次期監督に元メキシコ代表監督のアギレ氏が挙げられていますが、そのような中で、日本人監督待望論が必ず出てきます。これが本当に不思議です。それは外国人よりも話がつながりやすいというメリットがあり、また外国人監督が必ずしも良い監督とは限らないことはわかりますが、日本人監督ですと、つまらないんですよね。読めるから。外国人監督ですと、読むことができないことがあり、そこが興味深いわけです。そういう点でザッケローニ氏は面白かったですね。
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