『人生相談。』真梨幸子，講談社，2014

　新聞の人生相談コーナーをモチーフにした奇妙な話の連作短編集。
　前もって、人生相談をネタにしたものぐらいの知識でしたので、1編目を読んで、そのあまりの短さに、もっと掘り下げられるネタなのにもったいない、と思いましたが、読み進むにつれて、人生相談の人物名と内容の匿名性に眼を向けた叙述トリックものであるとわかると、なるほど、その手もあるか、と感心しました。
　考えてみれば、ミステリそのものが匿名性に通じていますから、親和性があるのも当然ですね。
　ネット上では、フェイクがあるのが当たり前ですから、人生相談も同じでフェイクがあってもよかったように思いますが、そうすると数多い登場人物のため、ただでさえ混乱しがちなのに、さらに混乱させてしまうために止めたのでしょう。
　まあ趣向の面白さを評価して、☆☆☆★というところです。気軽に読む分には最適な小説です。

人生相談。