ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

仕掛けを考える――『キネ旬総研エンタメ叢書 アニメプロデューサーの仕事論』キネマ旬報映画総合研究所編,キネマ旬報社,2011

 プロダクションI.Gの石川氏、ボンズの南氏、角川書店の安田氏、サンライズの内田氏、キングレコードの大月氏の5名のアニメプロデューサーの仕事がどういうものなのか訊いたインタビュー集。安田氏って本当に存在していたんだ、と驚きました。あまりにも多くのアニメにクレジットされるから、サンライズの矢立さんのように架空の人物と思ってました。

 安田氏のプロデューサーは編集者の仕事に近いというような考えは、やっぱりその通りでしたか。ジブリの鈴木氏も編集者でしたし。それぞれにスタイルがあり、そのなかで自分のできることを実践すればよいのだなと、自分の仕事の参考になりました。

 しかし、本書の企画意図はわかるのですが、もう少し真面目にプロデューサーの仕事の内容を具体的に解説してもよいのではないかとも思います。本文に丁寧な注が加えられて編集者は苦労しているのですが。

 内容とは別に出版形態について想像ですが、「キネ旬総研エンタメ叢書」というレーベルは、キネマ旬報社でアニメ好き、エンタメ好きの編集者がいて、最初は新書で展開したかったけれど、それでは数万部の売り上げがないと採算がとれないから、営業から注文が入って、1200円で展開していけるように、叢書という四六判、180頁という形にしたものでしょうか? それなら、新書のママでページ数を増やして、1200円で売れば、書店の棚がとれるような気がする。分厚い新書というのも良いよねえ。

キネ旬総研エンタメ叢書 アニメプロデューサーの仕事論

キネ旬総研エンタメ叢書 アニメプロデューサーの仕事論