ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『弱いつながり―検索ワードを探す旅』東浩紀,幻冬舎,2014

 ネットは結局自分の興味のあるところだけを見るようになるため、視界が広がったようにみえて、実は狭くなっているといいます。それに対抗するには、観光する者として、自分の肉体をもっていくことが有用である。確かに一理あるかなと思います。しかし、それも観光しないよりはマシであるという程度に過ぎないのではないでしょうか。しかし、仕事にしばられて、まとまった休みをとることができない現代人には、それしかないというのがホンネなんでしょうか。

 また、本書では言語の問題が語られております。一つの言語だけではネットといえども偏った知識になってしまい、例えば英語ではまったく記述されていないことでも、現地の言葉で検索するとウィキペディアに普通に書かれていることがある。したがって、人はなるべく多彩な言語を知った方がよい、意識した方がよいのだと眼からウロコですね。

 しかし、幻冬舎は何で本書を新書レーベルを使用しなかったんでしょう? 実に新書向きのテーマ、分量なんですけどねえ。単に担当者が書籍担当者だったからでしょうか?

弱いつながり 検索ワードを探す旅

弱いつながり 検索ワードを探す旅