ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ありふれた祈り』ウィリアム・ケント・クルーガー, 宇佐川晶子訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ1890,2013,2014

 高評価の書評を読んで興味をもったもの。この作家は7作もハードボイルドミステリが翻訳されているのにもかかわらず、全く知らなかった。私の興味レーダーにひっかからなかったのは、比較されているのがポロックだったからだろう。まあ、本作を読んでからは、読む気になりました。

 シリーズのハードボイルドミステリ作家がノンシリーズとして単発で発表し、アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞、アンソニー賞などいくつもの賞を受賞した作品。ミネソタ州の田舎町を舞台にした、回想ミステリ。クックの記憶シリーズに似ていて、意識している感じがする。

 クックにくらべてストーリーがスムーズに展開していかないなあと思いつつ、中盤からサスペンスたっぷりで読ませる。クックのパターンを外そうとしているところもあって、☆☆☆☆というところ。まあオールタームベストには入らないけれど、年間ベストには選ばれるレベル。

 終盤に二転三転していくのだけれど、先が読めたのですが、それでもハラハラドキドキします。それにしても、アメリカの田舎出身の作家は、子どもの頃を回想する小説が多い。キング、ストラウブ、マキャモンなどね。クーンツはなかったかな? そういえばマキャモンは全く翻訳されないけど、どうしたのだろう?

ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)