ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『小説家の作り方』野崎まど,メディアワークス文庫,2011

 野崎まど氏の(たぶん)4作目の作品。タイトルからは小説の書き方物語のような印象を受けるけど、まったくいつもの野崎氏の作品。主人公は新人作家で、多分に野崎氏自身を思わせる若い男性。「この世で一番面白い小説」を書きたいと思っている。その彼にファンからの手紙で小説の書き方を教えてほしいと言う若い女性から依頼をもらう。

 エンディングまで気がつかないのだけど、野崎氏の作品には無駄がない。何気なく読み進んでいたエピソードが伏線として回収されるので、非常に気持ちがよい。また、読者の理性といったらよいのだろうか。そのようなものをグラングランに揺さぶられる感じが心地よい。それらが味わいたくてまた次作も手に取ってしまうのだろう。

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

小説家の作り方 (メディアワークス文庫)