前作までの私のカーリイ作品の評価、解説の千街氏の本作の評価の少なさ、各書評からいって、本作はあまり面白くないのかもと今回はスルーするかと判断していたのですが、たまたま書店で見かけてしまって、他にあまり食指が動く作品もなかったので、手に取った次第。
休暇中にケンタッキーの山中に赴いた刑事カーソンは、携帯電話に女性の声で助けを求める通話を受けた。導かれていくと山小屋の中で惨たらしい遺体をみつけた。警察に捕まったが誤解をといた後、警察にジオキャッシングというリアル宝探しサイトに、奇妙な記号と座標が投稿され、そこにはトラックに押しつぶされた遺体が発見されたという。地元の警察に協力を要請されたカーソンだが、さらに同じような遺体が発見される。一体犯人はどうしてこのような予告と殺人を行うのか?
相変わらずクリスティのような予告殺人と、サイコサスペンスミステリの展開があって、犯人は犯人なりの論理で殺人を行う話です。しかし結論からいうと、あのカーリイの作品と期待しなければ、そして期待しないで読んだのですが、傑作というわけではないけれど、伏線もけっこう回収されていて面白かったのです。あの記号は何かしらの意味があるのだろうなあ、と期待していましたが、なかなかのくだらなさ(ほめ言葉)で、☆☆☆★というところ。謎解きを期待しすぎるなど、ちょっと私が勘違いしたのかもしれません。
それにしても、カーソンは専門職種らしくありません。専門職らしい思考や行動が見られません。比較的安易な行動をとっているような気がします。具体的に挙げてみたいところなのですが、一つ一つの行動が、いうよりないのが残念です。謎解きをする頭の良い刑事or探偵というだけです。そこに違和感を感じます。作者が専門職というものがどういう思考回路をもっているか、体得していないのではないでしょうか。
しかし、もう既に、原著は11作も出版されているようです。あまりにも遅すぎる。年2冊のペースにして、原著に追いつくようにしてもらいたいものです。
- 作者: ジャックカーリイ,Jack Kerley,三角和代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/08/04
- メディア: 文庫
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