ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ミステリマガジン700 【海外篇】』杉江松恋編、ハヤカワ・ミステリ文庫、2014 ――短編集をもっと発行してほしい

 海外ミステリの短編集。まさに企画の勝利というか、今まで早川書房はこれだけの資産をどうして遊ばせていたのか、と思います。

 収録された作家は、フレドリック・ブラウンパトリシア・ハイスミス、クリスチアナ・ブランド、ルース・レンデル、ジャック・フィニイピーター・ラヴゼイレジナルド・ヒルなど。

 ミステリというよりもコントといった感じの小説が多く、謎解きミステリが一つもないところが残念なところ。このなかでブラウンとフィニイは少し構築する世界が違う感じがして面白いです。

 もっと、江戸川乱歩が編集した、『世界短編傑作集シリーズ』のように、「年代別」か、世界謎解き篇、ハードボイルド篇、サスペンス篇、クラッシック篇など細分化して出版して欲しいところですね。

 しかし、『世界短編傑作集シリーズ』は高校生の頃読みましたが、素晴らしいシリーズですよね。素晴らしいミステリとは何か、を知るのに、感じるのに持ってこいですよ。アイリッシュの短編から、すでに名声を失われている作家まで収録されているのもいいです。1巻はウィルキー・コリンズが収録されているんですねえ。

 とにかく仕事やネットで忙しくて小説を読む時間がとれないので、長編ではなく、もっと現代の短編アンソロジーを出版してほしいです。しかも全330頁以内で。複数の評者が推薦できるような(つまりレベルの低いものはいらない。時間がもったいないから)、ある程度のレベルの高い短編を半ダース、6編でいいんですよ。分厚いのは疲れるから。ニーズがあると思うんですけどねえ。

世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)

世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)