ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男―西崎義展の狂気』牧村康正,山田哲久,講談社,2015

 昨年,評判が高かった『ヤマト』のプロデューサーの西崎義展の生涯を述べられたノンフィクション。

 いやー,久しぶりですね,いわゆる「怪物」の伝記ですね。「怪物」とは正確に何といったらよいかわからないのですが,大いなることを行うためには,犯罪を含めて清濁を併せ呑むことことができる人物というイメージです。膨大なエネルギーがあり,魅力的な側面があるため,それから逃れるのが難しい人っていますよね。そんな感じがわかります。

 西崎義範の戦略は、最終的に物づくりのためのアイデアを自分のものにしてしまうことです。そのために資金を出すことをためらいません。それはギャンブルですので、最終的には、そのために身を滅ぼすことになります。また本来受け取るべき利益を受けるべき人が受けなくなってしまうことがあります。それが、いいことなのか、悪いことなのか……。 

「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気

「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気

 

  本書の本筋とはずれますが、著作権は誰がもつべきなのか。アイデアを出した人なのか、それを実行した人なのか、またアレンジした人にはないのか、資金を出した人なのか。人は誰しもがクリエイターになりたいという欲望があります。クリエイトするためには、そのその能力をもっていなくてはなりませんし、ほとんどの人がもっていません。しかし、能力がなくても、金で得るor盗むことができるのです。たとえば出版社が著作権を主張しています。

 また、できあがってきた作品を独りでコントロールしているものはありません。複数の人間が関わっています。また、複数の人間が協力することによって、独りの天才よりも優れた作品ができることがあるのです。ほとんどの作品がそうです。このようなときの著作権はどうあるべきなのか。すべてが一人の者にある、あるいは会社にあるというのは無理があるのではないかと思います。だからといって、盗んでよいわけではありませんが。なんか、まとまりのない文章になってしまいました。