ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『メディアミックス化する日本』大塚英志,イースト新書,2014ー角川春樹氏と角川歴彦氏のメディアに対する考え方の根本的な違いとは何か

 本書を読むまで、角川春樹氏と角川歴彦氏のメディアに対する考え方の根本的な違いがあることを知りませんでした。中にいる人にとっては自明なことなのでしょう。本書では、角川書店がどうしてあのように変化したのかがよくわかります。

 帯では「KADOKAWAドワンゴの合併は何故、間違ってるか」と書かれていますが、「間違っている」とおかしな表現が著者の困惑さを表しているような気がします。著者は、それはWEB企業には倫理がないからだとしています(違うかもしれないけど)。私企業が文化生成システムを管理するということは、遠からず間違った管理が生まれる、と言うことらしいのですが、それは今電通などの広告私企業がしていることと同じです。

 メディアミックス化は、成功すれば利益が大きいため、誰もが、また企業が目指すのは仕方がありません。そのために投資も必要になり、失敗すれば損害も大きくなります。つまりリスクを背負わなくてはなりません。それを背負えるのが、またリスクを回避する可能性を高める投資を行えるのが企業なのです。また、著作権も分散されうるここともあります。KADOKAWAは、それをうまくやったということなのでしょう。ライトノベルの寡占化は、必然的だったのです。