ロスの探偵エルヴィス・コール・シリーズの第4作目の作品。ロバート・B・パーカーの強い影響を受けた、1980年代かと思わせるハードボイルド小説。
自分の恋人の刑事がイライラして怒りっぽくなっているので、その原因を調べてほしいという女性の依頼人がエルヴィスのところへやって来た。その刑事は「リアクト・チーム」という麻薬や暴力事件を専門にしているチームのメンバーだった。その刑事を調べてみると、どうやらギャングのボスとつながっているらしい。彼らを追跡するのだがエルヴィスは罠にかけられてしまう……。
著者がB級のハードボイルドミステリのファンで、当時の流行を詰め込んだという感じのストーリー。それが面白いといえば面白い。エルヴィスは正義感があるのかないのかわからないところも好感がもてる。ただ依頼人の依頼をこなしている感じのようにもみえるけど。
エルヴィスは用心棒役の相棒も連れている。この相棒の存在もパーカーが産んで以来のもので、私にはその魅力がまったく理解不能です。バディ物は楽しいとは想うのですが、こういう役割では単なるバカに見えてしまいます。探偵一人では対処できない事件があり、解決するためには出現したほうがリアリティがあるのですが、それにファンがつくのも、どういう心理でファンになるのか、まったく想像できません。
最後はドンパチして、派手に終わるのも、その時代らしさがあるのですが、☆☆☆というところ。これでスー・グラフトンはどこが好きになったんだ? グラフトンの作品のほうが知的でしょうが。
ぬきさしならない依頼―ロスの探偵エルヴィス・コール (扶桑社ミステリー)
- 作者: ロバートクレイス,Robert Crais,高橋恭美子
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1996/10
- メディア: 文庫
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