ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『読者ハ読ムナ(笑)―いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか』藤田和日郎,飯田一史,小学館,2016――むしろ編集者が勉強になるガイドブック

 藤田氏と藤田氏の初代編集者の武者氏による漫画家を目指すアシスタントへのアドバイスをまとめたもの。

 新人賞を受賞した新人漫画家が編集者の紹介で藤田氏のアシスタントになったという設定で、藤田氏は若い漫画家が不足しがちであることをどのように吸収していくか環境の整備を含めて提示していきます。

 さまざまな視点で読むことができます。私としては、編集者のための本として読みました。編集者も新人マンガ家もコミュニケーションをとっていくのですが、それぞれの立場や経験が異なるため、同じ言葉でも受け取り方が異なってしまい、正しく伝わることができないという現象。それを師匠として編集者の言葉を若い漫画家に具体的に解説し指南していく藤田氏がみられます。

 もちろん、どのようにマンガを描いたらよいか、しっかりしたアドバイスもあり、非常に勉強になります。

 しかし若い新人漫画家がコミュニケーション能力が低いのは当たり前なのだから、出版社がコーチングなりカウンセリングなりの研修を受けて、適切なコミュニケーション技術を習得したほうが、解決が早くなるし、効率的になるし、才能を逃すことがなくなるのではないでしょうか。