ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部 共実,少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!,2014ーー少年少女時代のすでに忘れてしまったものを思い出させる

 ネット上で紹介されていて内容に興味をもったマンガで、ウィキペディアによると、「2014年に第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。宝島社『このマンガがすごい!』2015年版オンナ編の第1位作品」と評価されておりました。私はタイトルさえ知りませんでした。

 なんといったらよいのか、自分がすでに忘れてしまったものを思い出させてくれる作品で、主役のちーちゃんとナツはもとより、そのクラスメイトたちがどうだったか、どのように見られていたか、不安のなかで生きていたこと、自分が小さいころ、いつも足りていないことに不満をもっていたことに共感し、そしてこの作品のなかではアンハッピーエンドではなかったことに安堵しました。

 人に薦めたいけど、実際には人に薦められない、それでも勧めざるをえない貴重な作品です。個人的は、キャラクター論を考えてしまいます。ナツは人の弱さをもっていてめちゃくちゃリアリティがありますよね。