私立探偵・葉村晶シリーズの第2作目・第1長編。『さよならの手口』『静かな炎天』が明らかに私の好きな海外ミステリの影響を受けていました。
2004年とずいぶん前の作品で、冒頭の葉村の心理描写がキンジー・ミルホーンの女探偵シリーズに似ています。
中途は少しキャラクターの区別ができず退屈にでしたが、ラストの展開は、あのシーンでまさかのジェイムズ・マクルーア、ギャビン・ライアル、そしてディック・フランシスまで加わって強烈でした。サイコ的なのも素晴らしい。おそらく、このようなスリラーを意図的に目指していたのでしょう。もう少し謎解きミステリ的な要素が加わったら名作だったのに惜しい。というわけで、☆☆☆☆です。
それにしても、現在、ギャビン・ライアルとディック・フランシスが忘れ去られているように思います。謎解きでも私立探偵小説でも本格的な冒険小説でもなく、継いでいる作家がいないからでしょうね。
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スティーム・ピッグ (1977年) (世界ミステリシリーズ)
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もっとも危険なゲーム (1976年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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