ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『家蝿とカナリア』ヘレン・マクロイ、深町真理子訳、創元推理文庫、1942、2002

 ヘレン・マクロイの全28長編作中、第5作目なので初期の作品。主人公は精神分析学者のベイジル・ウィリング博士。 マクロイはサスペンス作家だと思っていたので、本書の謎解きど真ん中ぶりには驚きました。

  内容はというと、ある演劇劇場の公演中、その登場人物の男が殺されているのを発見された。その男は、セリフのない役でアルコーブのなかで手術で使用されるメスで刺殺されていた。舞台中にアルコーブに入っていったのは3名。その3名のうちの誰が殺したのか? それとも他のものが行ったのか? 舞台に招待されて見ていたベイジル博士は協力者として捜査を始めた。

  舞台の公演中の殺人という一種不可能犯罪を解くわけです。そして探偵はさまざまな推理するための手管を用いて犯人を当てていきます。その回答の導き方が今では当たり前に近くなっていますが、当時ではそれまでにない方法論を用いています。そこが評価されたのでしょう。というわけで、☆☆☆というところです。

家蝿とカナリア (創元推理文庫)

家蝿とカナリア (創元推理文庫)