世界でこれまで見過ごされてきたことに対して、言葉を名付け見つけてきた論考であります。何も知識をもたず読む前は、「中動態」とは、be動詞のことで「在る」ことを示しているかと思っていましたが、全く異なるものでした。
とにかく、これから物事を考えるのに、2つに分けて考えられてきたことに対して、もう一つの提言をできるようになる、元ネタになりそうな感じがします。そういう意味で必読です。
例えば、以下のようなことが書かれています。
日常において、選択は不断に行われている。人は意識してなくとも常に行為しており、あらゆる行為は選択である。そして選択はそれが過去からの帰結であるあるならば、意志の実現とは見なせない。ならば次のように結論できよう。意志と選択は明確に区別されねばならない。(131ページより)
これは、選択と意志の違いを述べたものですが、ハードボイルド小説の主人公の行動原理が選択であることがわかります。
また、いままで、「編集(エディット)」と「創造(クリエイト)」と違いが判らなかったのですが、「編集」は選択であり、「創造」が意志であることがわかります。
また驚いたのが、ギリシア時代には意志という考え方がなかったということである。アリストテレスには意志の概念が欠けているというのである。ここで思い出すのが、イリアスなどを読んでいると、ローマ時代までは人間は「意識」という概念がなかったという説です。これらは、どうもつながっているように思います。
前半な何とかついていくことができましたが、後半は私の基礎知識不足でほとんど理解できませんでした。それでも、非常にスリリングな考えでした。
中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
- 作者: 國分功一郎
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2017/03/27
- メディア: 単行本
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