ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『カササギ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ、山田蘭訳、創元推理文庫、2017、2018ーークリスティマニアのためのミステリ

 昨年、ミステリランキングの多くのベストに選ばれた謎解きミステリ。それもアガサ・クリスティ風のミス・マープル物のようなイギリスのミステリである。これを現代で成立されるのは非常に難しくそれだけでも貴重です。上巻は、イギリスの田舎の大きな屋敷の中で起こった事故が殺人だったかをめぐる謎解き、一転して下巻はミステリ小説家の自殺をめぐる謎解きで、この1つ目の事件が2つ目の事件の謎解きに寄与するというトリックである。まったく意味はわからないと思いますが、そこが凄いのです。

 というわけで、厳しいようだけど☆☆☆★というところである。クリスティならもっと切れがあるのだけれども、それがないためだ。しかし、このような作品が非常に受けるのがすごいなと思う。

 なかでクリスティマニアがいるというエピソードが興味深かった。やっぱり、いるんんですね。  

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)