カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの長編第3作目の最終作品。ルメートルはミステリマニアのようで、このシリーズでも多くの作家に対して言及していますが、単なる引用というわけではなく、どのようにしたら読者に対して中途でやめさせないか、非常に研究している作家であり、それを実現させている作品だと思います。そのためには、多少の矛盾を無視していますので、それが気になる人にとってはイマイチに感じるでしょう。本作は構成がシンプルなためか最初から最後まで一気に読み切ることができます。
宝石店の襲撃犯に偶然遭遇した女性・アンヌが暴力に巻き込まれ、銃などで殴られて顔面の骨折など重症を負った。その女性と親しい仲であったカミーユは女性の部屋の荒らされ方から偶然ではなく、犯人は女性をもう一度襲ってくると確信した。女性との関係性を出すことなく内密にそして警察組織を利用して令状なしで捜査をするなど強引なことを行ったカミーユであったが……。
まさにノンストップ・サスペンス・ミステリで、前述したように最後まで一気読み。またカミーユとアンヌに対する描写が非常に引きつける。前2作とも同様に、肉体の痛みについて執拗に描写をして読者に感じさせる。というわけで、☆☆☆☆というところです。
- 作者: ピエール・ルメートル,橘明美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/10/07
- メディア: 文庫
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