『クライマーズハイ』『64』の横山氏の最新刊。ミステリではないけれど,書評などで評判がよいので購入しました。
結論からいいますと,私には合わなかったな,と感じました。この文体は『クライマーズハイ』『64』でしたら,己の不屈の精神を呼び起こすストーリーなどには,非常に合うのですが,本書のような奇譚には,ひたすら昏く感じて読み進めるのがつらくなりました。
偏見ですが,果たしてバブル期にその繁栄を享受していた人間が,このような敗北感を十全に感じることができるのか,疑問をもちました。いや改めて考えてみると,リアルかもしれません。バブル期の人間は,贅沢に慣れ切っているため,少し生活レベルを落としただけで,大げさな落ち込みをもつからです。
というわけで,非常に厳しいですが,☆☆☆です。まあ冒頭に書いたように私には合わなかったということなのでしょう。
こういう話は,永倉万治氏のような軽いけどシリアスな文体でなければ,面白くならないと思うのですが……。